esoraniのなかのこと #01 <ものづくりコラム>

にっぽんの美しい自然や伝統から新たな着想を。自分と向き合う時間を与えてくれるコスメティクス。

エソラニのなかのことを発信するものづくりインタビューコラム第一弾。ブランドメインディレクターの山下さんから、エソラニが生まれたきっかけ、開発への想いやこだわりについてご紹介します。

化粧品プランナー 化粧品デザイナー

 

 

 

自分を見つめ直す時間が生まれたことがきっかけに 

ーエソラニが生まれた背景を教えてください

私はもともと京都の伝統化粧を現代へとつなぐメイクブランドのデザインを担当してたんです。日本の伝統化粧というのは奥が深くて、色や言葉の美しさから丁寧な“所作(しょさ)”のことまで、そこには守るべき・伝えたいストーリーがたくさん存在しているんですよね。そんな日本らしさみたいなものをデザイナーという立場で表現していく中で、文化を継承していくことの大切さであるとか、現代に伝えていく難しさについては普段から考えることが多かったんです。

そんな中コロナという経験したことのない出来事が起こって……家にこもって「考えごと」をする時間がものすごく増えたんです。コロナ以前から環境とかエシカルの波は訪れていましたけれど、ここで一気にそんな問題にも向き合うようになりました。1人の人間としてできていること・できていないことを整理する機会をもらったことで、にっぽんの美しさを繋いでいくことに関しても、もっと広い視点で捉えていかなくてはと考えるようになっていったんです。

 

環境を考えること、それは日本の美しい文化をつなぐこと

自分が生業にしているパッケージデザインという仕事は裏を返せば環境にリスクを与えているのではないか、パッケージというものをただのゴミで終わらせてはいけないと感じるようにもなりました。一種の消耗品である化粧品に価値をつけるためには、ひとつの製品を「もの」と捉えるだけではなく、心が揺さぶられるようなストーリーを与えてあげることが必要だと思ったんです。つまり「もの」をデザインするのではなく「こと」をデザインしていかなくてはならないと。

それを実現していくには、これまで向き合ってきた日本のマインドが活きると思いました。日本の美しい夕焼けをみて涙があふれてしまう瞬間や、モノを大切に思う精神、たくさんの豊かな自然に多くのヒントが詰まっていると思ったんです。切り取った世界での文化の継承だけではなくもっと大きな視点で「にっぽんらしいサスティナブルなものづくり」をしていきたいと思ったことが、このブランドの原点です。

 

 

日本の自然や伝統をヒントに、新たな発想をする

ーものづくりにおいて大切にしたことはどんなことですか

日本の自然や精神って素敵ですよね。例えば季節を細かく細分化してその時々の空気や景色や温度の瞬間を大切にする「二十四節気(にじゅうしせっき)」であるとか、茶道とか華道とか「道」に込められた人としても精神を磨いて成長していくことだとか。普段そこまで意識はしていないけれど(時代が変わろうと)私たちはそんな文化が詰まった空間を生きています。

そういったものを伝えていくことを考えた時に、ストレートに「和の化粧品」を作るというよりも、「未完の美」のような、シンプルな日本のマインドみたいなものを、少し別のフィルターを通して表現していく方が時代にあっていると感じました。ここでいう「未完の美」というのは、起きたことをそのまま大切にする心です。欠けたものを美しいと思うことであったり、儚い季節の瞬間を切り取って形に残すような感覚ですね。日本の美しい言葉や色やストーリーの断片みたいなものを丁寧に紡ぎながら、新しい視点でアウトプットしする方法を探っていくことで、エソラニは段々と形になっていきました。

化粧品デザイン

 

まるで、自分自身の感性と向き合うようなアートな体験

第一弾の商品として発売する「呼び水バーム」と「思いでオイル」は、まさに日本らしい言葉の語感と自然の美しさからインスピレーションを広げ作っていったものです。1つ1つの商品の向こう側に豊かな自然や懐かしさを感じるような瞬間を、水彩画のようにゆらぐアートな世界や、言葉やテクスチャーや香りなどで表現しています。私は美術館巡りが好きなのですが、美術館で足を止めて作品と向き合っている瞬間って、その作品を通して自分の感性と向き合っている時間だと思うんです。そんなアートな感覚と対峙した時のように、esoraniを通じて自分自身と向き合うような体験だったり、どこか懐かしくてキュンとするような瞬間を届けることができたら素敵だと思っています。

エソラニデザイン

 

化粧品オイル

 

 

ー商品そのものの機能性やつづきをつくるというテーマについて教えてください

エソラニはスキンケアとしての機能性にももちろんこだわっています。「呼び水バーム」では、空気中の水分を呼び込む処方に加え、バーム特有の膜感を維持しながらベタつきを抑えたテクスチャーを目指して何度も試作を重ねました。「思いでオイル」は肌の質感やシーンや気分で選んでもらえるよう、それぞれのオイルと美容液の比率や成分を1つ1つ細かく変えています。どちらもうるおいを与え透明感のある肌へと導く設計で、使う部位やシーンは使う人の自由に任せています。

 

また「つづきをつくること」をテーマに、サスティナブルな国産原料を採用したり、資材の一部に環境配慮型の素材を使っています。捨てられてしまうパッケージに商品をしまっておきたくなるような工夫や、開いた裏面にもストーリーが展開されたデザインをしていくなど、化粧品パッケージの新たな可能性にも取り組んでいます。

化粧品プランナー

 

空を眺めるような気持ちで、スキンケアでひと息つく時間を 

ー最後に開発者からのメッセージをいただけますか

esoraniという名前は、ちょっとしんどい時に「空」を眺めて一息つく瞬間と、アートな空想に耽る「絵空ごと」を掛け合わせた言葉なんです。季節の空気感を感じることだったり、物思いに耽ることだったり、そんな瞬間を表現した独自の名前です。

この企画を作りながら、私の周りには人しれず頑張っている人が多いなと感じていました。私自身もそうですけど、忙しくて立ち止まる時間がなくっても日々は回っていくんですよね。だけど自分を落ち着かせる時間がないとポキっと心が折れてしまうことってあると思うんです。うまくコントロールしないとオリのように溜まった何かを吐き出す場所を見失ってしまう。今の時代というのは、生きていく上で選択肢が多いからこそ悩みも多くなっているような気がしています。エソラニはそんな人々の日々の暮らしや生き方に寄り添えるコスメでありたいと思っています。

水の流れや海の波打っている様子を見てホッとするような、何気ないけれど大切な瞬間を、毎日のスキンケアで感じてもらえたら嬉しいです。

二層式オイル

 

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